不倫慰謝料の支払いができない相手への対応
1 不倫慰謝料の支払能力がない相手への対応方法は主に2つ
配偶者の不倫相手との間で不倫慰謝料の支払を受けるための交渉をし、不倫慰謝料を支払う旨の合意に至ったとしても、実際に支払がなされるか否かは別の問題です。
不倫相手にお金がなく、慰謝料を支払うことができないという展開になることもあるためです。
このような場合の対応方法としては、①分割払い、②強制執行、というものが挙げられます。
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 分割払い
不倫慰謝料は、一般的には数十万円~300万円程度です。
個人が支払う金額としては低いとはいえませんので、一度で支払うことが難しいということもあります。
このような場合、例えば「毎月〇円を□か月に分割して支払う」という条件に変更をするという方法が考えられます。
そして、改めて分割払いの内容で和解書を作成しなおす際には、再度支払が滞った場合に備えて、後述する強制執行認諾文言付公正証書で作成することもあります。
3 強制執行
分割払いにしても不倫慰謝料の支払が滞ってしまったという場合には、強制執行をすることになります。
もっとも、強制執行は相手の意思に反して財産を差し押さえるものですので、厳格な手続を経て行うことが要求されます。
まず、債務名義というものが必要となります。
代表的なものとしては、確定した判決や、裁判上の和解、強制執行認諾文言付公正証書が挙げられます。
これらのものがない場合には、和解書の内容に従った支払を求める旨の訴訟を提起し、確定判決または裁判上の和解を得る必要があります。
次に、差押えの対象とする財産を調査する必要があります。
相手に持ち家がある場合や、相手の勤務先が判明している場合には、不動産や給与(給与債権)を差し押さえることが考えられます。
相手の預貯金については、弁護士を通じて調査をすることもあります。
ただし、相手に一定金額以上の収入やめぼしい財産がないという場合には、強制執行ができないということもあります。