不倫の誓約書(示談書・合意書)の内容について

文責:所長 弁護士 山森一男

最終更新日:2025年01月07日

 不倫問題は当事者間で解決したいと考える方は多いでしょう。
 そして、ある程度浮気相手や配偶者と話し合いが整った場合に必要になるのが、示談書や誓約書です。

 しかし、いざ示談書を書こうと思っても何を書けばいいか分からないのが通常です。

 今回は、自分で不倫の誓約書や示談書を書きたい方のため、書き方と共に一般的なテンプレート・例文をご紹介します。

1 不倫の誓約書・示談書の効力

 まずは、不倫の誓約書や示談書がなぜ必要になるのかについてご説明します。

 「示談」とは、当事者間の紛争につき話し合いをして和解することを指します。
 示談の中で決まった内容を文書に起こしたものが「示談書」です。

他に「合意書」「和解書」という言い方もありますが、特に違いはありません。

 誓約書は、当事者間でどちらか一方のみが約束を守る際に交わす取り決めを指します。
 不倫の場合なら、「二度と連絡を取らない」と浮気相手に約束させることが代表例になるでしょう。

 不倫の示談書の主たるテーマは慰謝料の支払です。

 いつ・どれくらいの金額を・誰に支払うのかを明確にすることで慰謝料請求に関する合意を明らかにします。

 これは口約束でも可能です。

 しかし、口約束だけだと支払が行われない可能性がありますし、後から再び慰謝料の支払を要求されてしまう可能性もあります。

 このような一旦解決したはずの問題を蒸し返さないようにするために、文書にしておく必要があります。

 誓約書に関しても同じです。

 文書にすることで、約束を守ってもらえる可能性が上がり、約束を破った場合には金銭支払の取り決めなどを実行化する効果があります。

【公正証書にした方が良い?】
 示談書の内容を公正証書にする意味は、示談後に慰謝料を支払わないトラブルや約束を守らないトラブルがあった場合に、慰謝料支払や違約金の支払を強制執行できる点にあります。

 通常、慰謝料合意があるのに支払わない場合は、相手に対して訴訟を起こし、判決を得ないと強制執行は叶いません。

 しかし、公正証書におこしておくと、簡易かつ小額の手続で強制執行をすることができます。
 慰謝料支払は通常一括払いです。

 支払と同時に示談書を交わすので、通常は金銭不払のリスクがありません。

 例外的に分割払いにする際は、公正証書にしておくと良いでしょう。
 また誓約書は、違約金支払の合意を設けない場合には金銭のトラブルとはならないので、公正証書にする必要はないでしょう。

2 示談書・誓約書の内容

 示談書と誓約書は、1つの文書にまとめることもできます。
 1つの方が簡便ですので、今回は示談書・誓約書の両方の役割を備えた文書の内容をお伝えします。

 記載しなければいけない内容としては、以下の通りです。

・不倫の内容及び認めている事実
 不倫の事実と、それにより精神的苦痛を与えたことを認める旨を記載します。

・慰謝料の支払に関する条項
 金額、支払期日、回数、支払方法、手数料の負担などを記載します。

・求償権の放棄条項
 不倫相手のみに慰謝料を請求する場合には、不倫相手から不貞をした配偶者に求償権(例:慰謝料の半分を負担せよという請求)を行使される場合があります。これを防ぐために、不倫相手に求償権を放棄してもらうための文言を加えます。

・接触禁止条項
 誓約書に当たる記載です。「今後一切の関わりを断つ」などの文言を加えます。

・口外禁止条項
 守秘義務に関する条項を設けます。不倫の事実や慰謝料合意について口外しないことを明記します。

・違約条項
 慰謝料支払や接触禁止条項、口外禁止条項などを破った場合の違約金条項も加えます。 「不貞行為が再度起きた場合は〇○万円」「第三者に口外した場合には〇○万円」などという文章です。

・清算条項
 示談書に記載した内容に合意し、「当該紛争に関し当事者間に債権・債務関係は存在しない」という内容です。

 慰謝料請求が再度行われるなど、問題の蒸し返しを防止するための内容を入れます。

 

 なお、示談書の効力(接触禁止条項や口外禁止条項など)に期間(期限)はありません。

 例外として示談書に有効期限を記載した場合は別ですが、通常、不倫の示談書・誓約書に期限を記載することはないでしょう。

3 不倫の示談書・誓約書の例文・テンプレート

 示談書・誓約書は、示談交渉を行い、その成立内容に基づいて作成します。

 示談書・誓約書は手書きでもタイプした文書でも問題ありません。
 2枚同様のものを用意し、最後に日付とそれぞれの署名・押印があれば大丈夫です。

4 示談書作成を弁護士に依頼するべき理由

 示談書作成は、自分で行うことも可能ですが、弁護士に依頼することで大きなメリットを得られるケースがあります。

 最後に、示談書作成を弁護士に依頼するメリットをご紹介します。

⑴ 手間がかからない

 弁護士に示談書作成を依頼するメリットとしては、まず手間がかからないことが挙げられます。

 示談交渉のときから弁護士に依頼することで、面倒な話し合いはすべて任せることができるでしょう。

 当事者同士だとなかなか合意に至らない場合でも、弁護士が入ると冷静に話が進むケースが多いため、示談成立までもスムーズにできる可能性が高いといえます。

 また、示談書を自分で書く必要がないので、初めて作成する文書のためにあれこれ悩まずに済みます。
 弁護士がきちんとした文書を作成してくれるので、過不足のない示談書を作成できるでしょう。

 ⑵ 不備がなく事後トラブル防止になる

 自分で示談書を作成すると、不備が出てくる可能性があります。

 仮にせっかく作成した示談書が無効になってしまうと、一から慰謝料請求をやり直さなければいけません。

 また、示談書に不備があると、再度不倫が起きたのに違約金を請求できないなどのトラブルにも発展する可能性もあります。

 弁護士に依頼すれば、このような事後的なトラブルは未然に防ぐことができます。

 慰謝料金額の適正額がわからない場合でも、弁護士は相場を判断することができるので安心です。

 また、仮に相手と訴訟になった場合でも、弁護士がついていれば遅れることなく準備を行い、対抗することができます。

 生活への支障も最小限にすることができ、無用なストレスも減るでしょう。

 このように、示談書は自分でも作成することは可能ですが、交渉の段階から弁護士に任せることで、少ない負担で、より適切に作成することができます。

5 不倫慰謝料の誓約書・示談書は弁護士にお任せ

 不倫慰謝料の誓約書・示談書作成が難しいと感じたら、どうぞ弁護士にお任せください。
 示談書作成だけでなく、示談交渉から弁護士が進めていくことは十分に可能です。

 不倫慰謝料の請求でお困りの際は、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

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